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[認知症plus]シリーズ

認知症plus意思表明支援

日常生活の心地よさを引き出す対話事例

  • 長江弘子 監修 原沢のぞみ・高紋子・岩﨑孝子 編
  • B5 208ページ (判型/ページ数)
  • 2021年06月発行
  • 978-4-8180-2342-0
本体価格(税抜): ¥2,900
定価(税込): ¥3,190
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ケアのプロセスとして、 意思表明に向けた対話を重ねよう

認知症の人にかかわるケア提供者として、何が大切か(価値)、どうしたいか(意向・目標)、どれがいいか(選好)、対話を重ねることが認知症の人の日常生活の心地よさへとつながります。
「日常生活のケアにおける対話」(14事例)、「症状の変化・進行にあわせた本人や家族との対話」(9事例)、対話力を磨く「手がかり」があります。


第1章 認知症の人への意思表明支援の目指すところ
1 意思決定支援のプロセスにおける意思表明支援の重要性
2 意思表明支援による思いの交流と日常生活の心地よさに向けたアプローチ

第2章 心地よさを引き出すための対話に求められること
1 認知症の人とケア提供者との対話の重要性
2 認知症の人を家族とともに支えるために:家族との対話をもつ意味
3 認知症の人と家族との対話の手がかり
 
第3章 認知症の人と家族の意思表明を支える対話
1 日常生活のケアにおける対話
食事
 事例1 「先生、レストランでエッセンはいかがでしょう」の声かけが食事摂取につながったAさん
 事例2 入院後、食事量が少ないBさん
清容・清潔
 事例3 攻撃的で興奮状態で緊急入院したが、清潔ケアを受け入れたCさん
 事例4 タイミングよい声かけで足浴や洗髪を受け入れたDさん
入浴
 事例5 誘い方の工夫でお風呂へ行くEさん
 事例6 長湯好きなFさん
排泄
 事例7 「大きな声を出す」という行為で尿意を表現していたGさん
 事例8 尿意・便意の明確な訴えがない状態から、日中の失禁減少や便秘の改善につながったH さん
着衣・脱衣
 事例9 関心のある声かけとゆっくり丁寧なケアが安心につながり、好みの服に着替えができたIさん
 事例10 持てる力を発揮して清拭や更衣を行うことができたJさん
移乗
 事例11 痛みから移乗に対する恐怖感を抱いているKさん
 事例12 「いたい」と訴え、うまく移乗できなかったLさん
睡眠
 事例13 リクライニングが心地よいMさん
 事例14 夜間せん妄による過鎮静状態から日中の覚醒が可能になったNさん

2 症状の変化・進行にあわせた本人や家族との対話
認知症を疑いはじめる時期
 事例1 本人と娘の思いを引き出すことで介護保険申請につながったAさん
 事例2 物忘れを自覚して不安があるが、家族に伝えられなかったBさん
 事例3 かかりつけ医のすすめで受診を受け入れて来院したCさんと心配する妻
不安定な症状がみられる時期
 事例4 術後疼痛が生じ、不穏となっているDさん
 事例5 体動コールに不快感と猜疑心を抱いたEさん
 事例6 幻視の出現が強くなり、入院加療を決断したCさん(事例3の2年後)
 事例7 過去の世界に生きているFさん
意思疎通が困難になる時期
 事例8 多職種による薬剤と嚥下機能の検討により、経口摂取が継続できたGさん
 事例9 最期は自宅でゆっくり生活したいという願いをかなえたHさんと家族


本書は、認知症ケアに関する「認知症Plus シリーズ」として「意思表明支援」をテーマに、認知症ケアの実践としての心地よさを引き出すための対話を示したものです。
意思表明という用語は「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018 年6 月公表)において意思決定支援のプロセスとして提示され、その一つの段階として明示されました。このガイドラインでは、本人が意思を形成することの支援(意思形成)、本人が意思を表明することの支援(意思表明)、本人が意思を実現するための支援(意思実現)のプロセスであると示されています。
このプロセスでは認知症の人であっても一人ひとりが自分で意思を形成し、それを表明でき、その意思が尊重され、日常生活・社会生活を決めていくことが重要とされ、本人の意思の尊重・本人の意思決定能力への配慮・チームによる早期からの継続支援を意思決定支援の基本原則として示されています。よって意思表明支援は、本人の意思の形成と表明を支える重要な段階にあり、認知症の人とのコミュニケーションを十分にとる必要性を意味しています。しかしながら、どのようにコミュニケーションをとればよいか戸惑うことも多いと思います。そこで本書では、認知症の人とのコミュニケーションを「対話」と置き換えることで、新たなケアの視点で捉え直し、ケア提供者の実践として思考と行為を言語化し可視化することを試みました。ケア提供者が日々の看護実践の中で認知症の人をどのように捉え、何を考え、どのような意図をもってコミュニケーションしているのかをリアルに表現するためです。そしてその対話のイメージを読者と共有するために、LINE アプリのように示してみました。
認知症の人と家族、さまざまなケア提供者との対話には、示される言葉の背景にケア提供者の考えや思いがたくさん込められています。それを本書では「対話の手がかり」と称し、ケア提供者の対話の極意として表現しています。監修者・編者としても、執筆者の卓越した技の中にある対話の極意を示すことは、とてもチャレンジングなことでした。読者の皆様には是非、認知症の人と家族、ケア提供者の対話を追体験しつつ、日々の認知症の人と家族のケアの実践に役立てていただけることを願っています。
本書の構成は、考え方の基本となる「解説」(第1 章・第2 章)と「実践事例の展開」(第3 章)の2 部に大きく分かれています。「解説」の第1 章では、ガイドラインにおける意思表明支援の重要性や認知症という疾患の理解、エンドオブライフケアの概念に基づいた意思表明支援の考え方について解説しています。次の第2 章では、「心地よさを引き出すための対話に求められること」として、1.認知症の人とケア提供者との「対話」の重要性、2.認知症の人を家族とともに支えるために、3.認知症の人と家族との「対話」の手がかりの3 部構成でまとめています。
特に、対話の「手がかり」は事例に示された対話の極意を分析・整理して示したものであり、意思表明支援のプロセスを形式化しているものです。これは本書の編集過程で生まれた貴重な知見です。読者の皆様から忌憚ないご意見をいただければ幸いです。
「実践事例の展開」は「第3 章 認知症の人と家族の意思表明を支える対話」として、日常生活のケアにおける対話・14 事例、症状の変化・進行に合わせた本人や家族との対話・9 事例を提示しています。どの事例もその背景とケア提供者の考えとともに、対話の相互作用を体験することができると思います。日頃気になっている認知症の人を思い浮かべながら事例を読んでいただけたら、何かのヒントがつかめるのではないかと思っています。
まとめとして、エンドオブライフケアの概念に基づくケアのプロセスとしての「意思表明支援」は、その人を取り囲む関係性の中でどう生きたいかを、その人自身が意識化し、それを言葉や行動で表明し、何かをつかみ取って選んでいくことを支えていくプロセスです。認知症の人であってもその世界を生きている唯一無二のかけがえのない存在です。人として存在し、敬意をもって話しかけ、心を通わせることで生まれる他者との心の交流は、まぎれもなくその人の現実世界、体験世界を語ることを促し、その語りは社会とつながる心地よさを提供するケアとなるのです。認知症の人とのコミュニケーションを「対話」すると考えることで、ケア提供者のケアの困難さや不安を軽減するとともに、認知症の人にとっては安心・安楽をもたらし、穏やかに過ごす心地よさをもたらす新たな認知症ケアのアプローチ方法を提示できるのではないかと考えています。
最後に、このたびの出版に際しまして多大なご尽力をいただいた日本看護協会出版会の皆様に心より御礼申し上げます。

2021年6月  
編著者を代表して 長江 弘子

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