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臨床実践と看護理論をつなぐ指導

現場で使える「実践型看護過程」のススメ

  • 阿部幸恵 著
  • B5 152ページ (判型/ページ数)
  • 2021年08月発行
  • 978-4-8180-2348-2
本体価格(税抜): ¥2,400
定価(税込): ¥2,640
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臨床にマッチした看護過程で看護実践力を伸ばそう!

臨床では「理論」と「実践」が乖離していると感じることはないですか?

本書が提案する「実践型看護過程」は、両者を切り離さず、スピード感をもってチームで看護を展開するプロセスです。フェーズごとの指導のポイントをマンガで示すとともに、「看護とは何か」「指導者はどうあるべきか」を、ナイチンゲールら先人の言葉をひも解きながらわかりやすく解説します。


はじめに

第1章 「看護学概論」に立ち返る

1 看護とは何かを考えてみる  
1)受け持ち患者に行ったケアを振り返る 
2)臨床経験を積んだからこそ感じ取れる「看護」  
3)「生活」と「衛生」をいかに整えるか  
4)「看護」を見失わないために  

2 看護の対象と対象をとらえる視点  
1)「生活」と「健康」に対して責任をもつ  
2)医師と看護師の、対象をとらえる視点  
3)人をとらえる視点  
4)かかわりの中から最善のケアをつくり上げる  

3 拡大する看護の場に対応できるか  
1)看護はどこで必要とされるのか
2)地域包括ケアシステムの中で、看護は地域・在宅へ  
3)生活の場での、五感を使った看護師としての観察 
4)「看護の専門性と独自性」を表現できる看護職者を育てるには  

4 看護実践の方法  
1)看護技術とは  
(1)看護技術の定義  
(2)看護技術の範囲  
2)技術の提供による2つの効果  
3)対人関係の技術
(1)看護における対人関係とは  
(2)苦難の中に意味を見出す  
4)看護過程を展開する技術  
(1)日常のケアで置き去りにされる看護過程  
(2)看護の専門家としてのアセスメントと計画  
(3)批判的な思考で看護過程を鍛える

5 目指せ! 看護学の実践家  
1)看護職の教育制度  
2)大学(学部)と専門学校(3年課程)の教育の違い  
3)実践の基盤となる「学問としての看護学」
4)看護学は人間科学を基盤とする学問

6 看護学教育における「プロフェッショナリズム教育」
1)基礎教育で重視される「プロフェッショナリズム教育」  
2)「プロフェッショナリズム」とは何か
3)「プロフェッショナリズム教育」が必要となってきた背景
(1)発端は医療事故への反省
(2)倫理規定を土台にしたプロフェッショナリズム
4)「プロフェッショナリズム教育」が目指すもの  

第2章 臨地の指導者に求められる5つの力
 
1 看護過程を展開する力
1)看護過程の発展のプロセス  
2)専門的知識と看護理論を土台にしたアセスメント
(1)クライエントからの直接および間接による情報収集  
(2)看護理論の活用
  ①ヘンダーソンの理論  ②ロイの理論 ③オレムの理論
3)プロフェッショナルな実践
4)リフレクションで目指す反省的実践家
5)クリティカルシンキングとロジカルシンキング

2 伝える力  
1)看護師が伝えることの意味
2)書いて伝える:看護記録や報告書など  
3)話して伝える:申し送り、報告、事例のプレゼンテーションなど  

3 対人関係を築く力  
1)どのような状況でもクライエントを支えなければならない  
2)時には、母親、伴走者、指導者にならなければならない
3)チームメンバー、チームリーダーとしての役割を果たし、チームに貢献しなければならない 
4)多職種協働チームに、専門性を活かして貢献できなければならない

4 指導する力
1)指導をデザインする際に役立つID理論  
2)学習の進め方を考えるときに役立つ学習理論  
3)徒弟制から認知的徒弟制へ  

5 生涯にわたって自己研鑽する力  
1)一般教養や社会情勢に関心をもつ  
2)語学と文化で豊かな国際感覚を  
3)専門家の基盤である知識を強化する
4)看護を学ぶ、看護を問う  
5)リカレント教育のすすめ

第3章 看護実践力を伸ばす指導例

1 看護職者の誇りをもって指導する  
1)指導者とはどうあるべきか
2)よい指導を行うために
(1)指導者としてではなく、同じ看護職者として後輩や仲間とかかわる
(2)指導者自身が専門職者としての自信と仕事への誇りをもつ
(3)後輩や同僚を慈しみ、思いやる
3)指導的な立場にある者の務め 

2 何を目指して指導するのか?  
1)「業務」と「看護」
2)「業務」に振り回されるとは?  
3)看護職者が行う「看護業務」  
4)食事の配膳と介助における指導

3 OJTで鍛える看護職者の思考過程  
1)再び、看護過程に立ち戻る 
2) 座学での学びと、臨床での学びに生じている解離
3)看護過程は電子カルテの中にだけ存在する?  
4)看護の思考と看護実践を離さない「実践型看護過程」

4 実践型看護過程を使った指導例
1)「間接的フェーズ」での指導
(1)「疾患」中心や「診療の補助」の情報に偏らないこと
(2)情報をきちんと解釈し、どのような意味があるのかを探る
2)「直接的フェーズ」での指導
3)「行為の中のフェーズ」での指導
4)「行為後のフェーズ」での指導

【コラム】
マーサ・E・ロジャーズ(1914-1994)
『モモ』から学ぶこと 
「プロフェッショナル」とエキスパート、ベテラン、スペシャリスト、玄人との違い
チームステップスに学ぶ伝え方のいろいろ 
指示から依頼へ、上申から相談へ
臨地で簡潔に指導する方法「5マイクロスキル」

おわりに


はじめに

2019年末に確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、まるでドミノ倒しのように世界中に広まり、パンデミックとなりました。多くの国で都市封鎖、医療の逼迫、経済界への打撃が続き、世界が大きく変わり、さまざまな分野で新たな思考・行動パターンを模索していかなければならない事態となっています。
看護も同様です。特に看護の基礎教育に関しては、学ぶ場が学校から自宅へと変化し、教員や仲間とのかかわりも間接的なものとなっています。教員たちは、オンラインで講義を提供し、演習や実習についてはシミュレーション教育を導入するなど模索しながら進めている状況です。臨床での指導はどうでしょうか。逼迫する医療現場では、人を育てることを考える余裕はないでしょう。目の前のクライエントに必要なタスクをこなすことができる人材を適材適所に配置して、この状況を何とか乗り切らなければならないからです。
このように臨床現場が危機的な状況に陥った際には、「教える時間」に割く時間もマンパワーもなくなってしまいます。人の育ちを待つ時間もなく、ただ「即戦力」が求められます。

これらのことは、2020年12月22日に行われた日本看護協会の記者会見で報告された調査概要1)からも明らかです。調査は、協会が2020年9月に全国の8,257病院の看護部長や、12,031介護保険施設の看護管理者等を対象に行ったものです。 
病院看護管理者からの調査結果(有効回収率33.5%)では、8割近くの病院が病棟再編成や配置転換を行い、人手を確保しています。また、実際にCOVID-19患者を受け入れた病院の46.0%が看護配置を変更しています。今後の潜在看護師の採用意向については半々であり、潜在看護師の知識や技術が不確かな状況では、院内での人手確保が優先される現状がうかがえます。さらに、労働環境の変化や感染リスク等を理由にした離職があった病院は、全体では15.4%、感染症指定医療機関等では21.3%でした。個人を対象とした調査では、看護職員に対する差別や偏見があることも示されています。
この記者会見で、福井トシ子会長は、現場の看護職員の疲労が心身ともにピークに達し、さらなる支援が必要だと伝えています。これは、2020年9月時点での調査結果です。事態はさらに悪化しているでしょう。
コロナ禍における看護の現場は、私たちが今まで経験したことのない未曽有のパンデミックとの闘いの中にあります。その現場で必要とされる「即戦力」は、日頃の教育や指導の結果であり、それぞれの専門職者が積み上げた経験と、継続してきた研鑽の結果です。今、私たちのこれまでの教育や指導、そして、専門職者としての誇りや研鑽が試されているのです。

afterコロナが訪れても、パンデミックや災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、このコロナ禍から得た教訓を明らかにし、それに基づいて備えなければならないのです。どのように人材を育てていくのか、そして、看護職者それぞれが専門職者としての力をどのように伸ばしていくのかを。
どのような状況におかれても、専門職者としての知識・行動をチームの中で発揮できる人材を育てることこそ、これからの「看護」と「看護学」にとってきわめて重要であることを本書で伝えたい。本書は単に指導の方法を示すだけのものではありません。すべての看護職者に、「看護」に意味を見出し、誇りをもってもらいたいという行間に込めた筆者の祈りを感じ取ってもらえることを期待しています。
イギリスの登山家ジョージ・マロリーの言葉に「なぜ、山に登るのか。そこに、山があるからだ」というものがあります。これは、もし、誰も登頂したことのないエベレストがそこにあるならば、登山家として登りたいと思うことは当然だということです。
看護の専門家であるわれわれが、どのような状況であっても過酷な医療の現場に向かうのは、そこに、看護を必要としている人がいるからなのです。そのために必要な知識や技術を日頃から備えておく方法を、そして、afterコロナの時代に向けた教育や指導を、いま再建する必要があるのです。

本書第1章では、「『看護学概論』に立ち返る」として、現在、基礎教育で扱っている「看護学概論」を概観します。看護の役割、そして、それを果たすために看護職者が備えておくべきプロフェッショナリズムとは何かを考えていきます。
第2章「臨地の指導者に求められる5つの力」では、これからの指導者に求められる5つの力について解説します。
第3章「看護実践力を伸ばす指導例」では、専門職者としてプロフェッショナリズムを高められるような指導の具体例を示していきます。
本書では、ナイチンゲールをはじめとする理論家たちの名言を随所で紹介しています。それは、指導に関する知識や方法を学ぶだけでなく、それぞれの名言に触れて、ひとりの看護職者として、皆さんに看護独自の専門性と素晴らしさを再確認してもらいたいからです。「やはり、看護は素晴らしい!」という思いが、新人や学生への指導のエネルギーになるからです。また、生涯プロフェッショナルを目指して成長される皆さんの励みになると思うからです。本書を手に取っていただいた方々に、そのような私の思いが伝わることを願っています。

2021年7月 阿部幸恵


文献
1)日本看護協会「看護職員の新型コロナウイルス感染症対応に関する実態調査」結果概要〈https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/covid_19/press/pdf/press_conference1222/01.pdf〉(2021.7.1確認)

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